2018-05-21

取り子(とりご)

この地方では、生まれた赤ん坊を神社の子にすると、神様のご加護で丈夫に育つと信じられていた。それで、前の子を亡くしたり、身体の弱い子が生まれたりすると、神社の子にしてもらった。

これを「取り子」と言う。

神社の子にするといっても神社で育てるわけではなく、産みの親の家で育てるのだが、盆暮れやお節句には子どもが実家に帰るように、おふかしや餅を持って神主さんの家に遊びに行った。

神主さんの家ではお正月に取り子が挨拶に来ると、カルタやおはじき、パッタ(メンコ)などをお年玉として与えた。それが取り子にはとても楽しみだったという。おもちゃは三春駅前にあったおキミさんげ(村田商店)で買い求めたそうだ。

神主さんが亡くなると、取り子たちは六尺として棺桶を担いだ。

鹿島大神宮にもまだ何人か取り子がいるが、今はもう生まれた子を新しく取り子にする人はいない。

 

平成30年5月21日(月) 西田町丹伊田 渡辺典子談

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です